2019年度 公益社団法人日本口腔インプラント学会 認定講習会第5回 報告

KIRG 2019年8月の講習会を終えて

25期  山地晃二郎 ヤマヂ歯科クリニック(福岡県北九州市)

多くの知識や技術を学ばせていただきました。

初日、最初は添島義樹先生の、ボーンレベルインプラントの特徴と臨床という講義でした。審美部位のインプラントを行うにあたってリスク評価を行う必要があることが再確認できました。ボーンレベルインプラント埋入ポジションとして①両隣在歯の頬側歯頚ラインを超えない(口蓋側よりだが口蓋側すぎると舌感悪くなる)②両隣在歯の歯肉マージンより4~5mm根尖側にインプラントショルダーが位置する③頬舌的な埋入方向が切端より口蓋側になるように(口蓋側にアクセスホールがくるようにするため)などの事柄が重要であり、手術後にインプラントの両側隣在歯の歯頚ラインよりも将来の補綴部位の歯肉が高くなっている事も重要であると教えて頂きました。

またインプラントが二本つづくような時はスキャロップの形態を審美的に維持することは難しいため付加的な挺出、軟組織のマネージメントを行う必要があることを知りました。これらの知識を患者さんに説明して同意を得て治療を行うことが重要であり信頼を得るために必要なことであると感じました。

 

次に、井上孝先生のインプラント体と生体の反応および口腔検査学と全身疾患という講義でした。インプラント以外にも幅広いお話を聞かせていただきました。わかりやすい例え話をまじえて話して頂いたので、基礎系の話であるにもかかわらず興味深く聞かせて頂きました。

 

午後の最初の講義は田中秀樹先生のインプラント審美補綴のポイントと抜歯即時インプラントのガイドラインという講義でした。全ての症例が綺麗で、スライド一枚一枚が作り込まれており大変興味深く聞かせていただきました。審美部位でのインプラント治療に対して考慮する事項として①硬組織のマネージメント、②抜歯即時埋入と早期埋入、即時荷重の診断③軟組織のマネージメント④インプラントの埋入ポジション⑤アバットメントの選択基準と軟組織貫通部分の形態⑥全顎治療の中での前歯部インプラント補綴、などの項目に関してお話を聞きました。前歯部の多くの綺麗な症例を見せていただきました。

審美領域での抜歯即時インプラントは難しい印象を受けましたが、もう少し経験を積んだ上で適応する患者が来ればチャレンジしてみたいです。

 

初日最後の講義は児玉利朗先生によるソケットプリザベーションの講義でした。頬側の歯槽骨は細いこと。GBRをやる場合メンブレンを使い減張切開を行うため、角化歯肉の幅が減るといことがわかりました。抜歯後インプラントを行う場合はテルプラグ、テルダーミス、骨補填剤、メンブレンを症例に応じて使用したいと思いました。

 

二日目、最初の授業は武田孝之先生のインプラントのリスクファクターに関する講義でした。全体の補綴のことも考えて治療計画を立てることの必要性を感じました。またパワータイプの患者、加圧因子、上減の歯列という考え方は私にとって新しく、加齢に対する対応も考えていく必要性を感じました。

 

二日目最後の講義は飯島俊一先生によるストラーマンインプラントの基礎と臨床の話でした。日頃から分度器などで角度の感覚を持つ、診断用ゲージを分割して使用する、抜歯即時などで既存骨によってズレが起こった時にリンデマンバーを使用して骨を削る、低速でドリリングする、10mmのインプラントを入れるなら11mmまでドリリングする、すべて手順を覚え考える時間を無くし手を止めず手術時間を短縮するなど埋入時のコツを教えていただきました。ストラーマンインプラントのティッシュレベルとボーンレベルの二種類のインプラントを一本ずつ埋入しました。

 

盛りだくさんの内容でまだ自分の中で整理できていないこともありますが、今後も継続して勉強していきたいと思います。

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KIRG日本インプラント学会認定講習会第5回(8/17・18)報告書

大林歯科小児歯科医院(福岡県宗像市)

山口 義

先日は貴重な講演ありがとうございました。

添島先生の講義はボーンレベルインプラントの有効性についてでしたが、とても分かりやすいものでした。井上教授の講義はインプラントを植立する前になぜその部位が欠損に到ったかを考えること、植立した際のリスク、植立後の化膿性炎のリスクを踏まえた話で、とても理解しやすかったです。「二項対立」からの脱構築ということも今後改めて考えてみたいと思わされました。田中先生の講義では全体の補綴の設計を行う際に姿勢を改善していくことが大切であると教わり、今後の診療の際にはその点に気をつけていきたいと思いました。児玉教授からは抜歯の際においてその後の治癒を考慮に入れた処置を行うべきであると学びました。特に後にインプラントを埋入することを検討している場合においては良好に抜歯創を形成するにはどうすべきであるかというのを常に考えて治療にのぞみたいと思います。武田先生の講義ではインプラントを埋入する際になぜその歯が欠損に到ったか、さらに全体的にどういうリスクがあるかを考察することが大切であることを学びました。飯島先生の講義・実習においてはStraumannのインプラントを実際に模型に埋入しましたが、普段当院のオペで使っているものと違うのでやや戸惑いはありましたが、貴重な経験ができました。
今回の講義、実習で学んだことを1つでも多く臨床において実践していきたいと思います。

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「KIRG感想文」

しょうはら歯科口腔機能クリニック 匠原 健(熊本県)

添島義樹先生

ボーンレベルインプラントとティッシュレベルインプラントの違いについて、ボーンレベルの誕生した経緯や、どちらが優れているかではなく両者を症例により使い分けることをわかりやすく説明していただいた。

井上孝先生

「教科書を信じるな」という言葉に衝撃を受け、医学はどんどん新しい知見が生み出され更新されていくことを肝に命じ、常に疑いの目で見ていく事が大切だという事を教えていただいた。

田中秀樹先生

審美領域のインプラントに対して特別に配慮しなければいけない事を診査の段階から考えていく事の難しさを教えていただいた。エンべロップ法で結合組織を滑り込ませるテクニックは圧巻であった。自分も精進していこうと思った。

児玉利朗先生

抜歯窩温存法について従来法だけでなく、新しい、かつ、簡便な方法を教えていただいた。経験の浅い私でも導入できそうな方法で参考になった。

武田孝之先生

インプラントをただ埋入するだけでなく、その患者が寝たきりになった時のことも想定してインプラントを計画する事の重要性を教えていただいた。高齢者歯科治療に積極的に取り組んでいる私にとっては革新的な内容であった。固定制補綴装置をあえて、インプラント義歯に置き換えていくことも今後は必要になっていくと学んだ。

飯島俊一先生

私も取り入れているストローマンインプラントの特徴からわかりやすく解説いただき、実習を通じて実際に埋入を経験することで身をもってインプラント埋入のコツを教えていただいた。

 

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