(公社)日本口腔インプラント学会認定
九州インプラント研究会 第27期認定講習会便り
九州インプラント研究会 会長 伊東隆利
九州インプラント研究会(KIRG)のホームページにアクセスありがとうございます。
KIRGは、過去25年間、(公社)日本口腔インプラント学会の専修医・専門医申請のため認定講習会を開催してきました。しかし、昨年度(2020年度)は新型コロナウィルス感染症が全国で発生したため、受講が決まっていた26期生の皆様に1年延期をお願いし、2021年4月から第27期として認定講習会を始めています。対面講義・実習を目標としましたが、その後の緊急事態宣言、蔓延防止重点措置などにより、ハイブリッド方式(対面・WEB)、WEB受講のみと、新型コロナウィルスの感染状況に応じて決めさせていただいております。
安全第一、感染防御対策を行った上で、臨場感あふれる講義を目標にし、下記のように開催いたしました。
第1回講習会 4月17・18日 ハイブリッド方式で講義・受講
第2回講習会 5月15・16日 WEB上での講義・受講
第3回講習会 6月19・20日 ハイブリッド方式で講義・受講
第4回講習会 7月17・18日 WEB上での講義・受講
第5回講習会 8月21・22日 WEB上での講義・受講
上記のように新型コロナウィルス蔓延状況に伴い、臨機応変に開催されてきました。
以降は、第6回9月18・19日、第7回10月30・31日、第8回11月20・21日で開催予定です。
対面で会場に集合する場合は、関係者(受講生・講師・事務局・WEB接続業者)全てにPCR検査を受けていただき、陰性が確認された方のみ集まる状況で開催しています。広めの会場で密を避け、マスク・アルコール消毒・換気等に注意を払っています。
受講生の方々には毎月数名ずつ感想文を提出していただき、各月スナップと共にホームページ上にアップしておりますので、ご覧ください。
ワクチン接種が進んでいますが、変異株の出現など予断を許されません。早い終息を願い、皆様のご健勝をお祈りいたします。
なお、2022年度第28期認定講習会の募集を開始しております。現在、カリキュラムを構成中ですので、決定次第HPに追加記載予定です。インプラントをしっかり勉強したい方は是非ご覧になってください。またそのような方がいらっしゃった場合はご紹介いただければ幸いです。
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KIRG主催日本口腔インプラント学会認定講習会 第27期 第5回感想文
第27期 窪薗 堅大 医療法人篤志会さこだ歯科医院(鹿児島県鹿児島市)
第5回講習会は8月21日~22日にリモートで開催されました。
1日目は添島美樹先生のボーンレベルインプラントの講義から拝聴しました。TLとの比較や埋入ポジションの基本的な内容から、先生の臨床を用いた講義は大変興味深く、インプラントの構造からそれに伴う臨床を学ぶことができました。
加来敏男先生のストローマンガイドについての講義でした。埋入ポジションやインプラントの選択や骨吸収を含めて抗議してくださり、それを踏まえて、CTによる骨量の判断、角化歯肉幅を踏まえてのガイドでの設計の方法を学びました。普段、FINSIAを用いているため、他のメーカーのインプラント体の講義は新鮮でした。
田中秀樹先生の講義は審美エリアによるインプラント補綴でした。先生の実際の臨床症例を画像、動画で拝見しながら、学ぶことができました。歯肉移植の方法や切開線のデザイン」、縫合の仕方など見たことのない方法を目の当たりにして、大変勉強になりました。仕上がり、その後の予後も考えて日々の臨床に臨もうと思えた講義でした。
1日目最後は児玉先生のソケットプリザベーションの講義内容でした。抜歯後の組織変化と各種材料による治癒の変化を学びました。個人的にはテルプラグの組織量の増加に用いた症例には感銘を受けました。
2日目は武田孝之先生のインプラントリスクファクターの講義でした。講義参加型の講義で考えながら、学ぶことができました。先生がおっしゃられていた、なぜそうなったのか(原因)を考えることで治療内容が決まってくるという考え方は以前から診療で考えながら行っていましたが、再確認することができました。
最後の講義は飯島俊一先生によるストローマンインプラントの基礎と臨床の講義でした。TL、BLの使い分けや、骨吸収程度など基礎の内容とそれを踏まえた臨床の内容で一から確認することができました。
今回で第5回の講義が終了し、残りも3回と終盤になってきましたが、毎回内容の濃さについていくのが必至ではあります。少しでも吸収し、患者様に還元できるよう努めていきます。いち早く、COVID-19が収束し、現地で安心して講義を拝聴できることを心より名がっております。
講師の先生方、KIRG会員の先生方、事務局の皆様のご尽力に心より感謝いたします。
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第5回KIRGを受講しての感想文
第27期 窪薗 遥 医療法人篤志会さこだ歯科医院(鹿児島県鹿児島市)
8月21日、22日と第5回九州インプラント研究会の講義を拝聴させていただきました。本来であればハンズオンもありながらのセミナー予定でしたが、現在も感染拡大を続けるcovid-19により今回もリモートでの拝聴を余儀なくされました。しかし講師陣の先生方や、会員の先生方、事務局の方々のおかげで今回も内容の濃い、白熱した講義を問題なく拝聴できました。本当に感謝いたします。
1日目は添島 義樹先生の講義から始まりました。ボーンレベルとテッシュレベルの構造の違いや審美領域での埋入のポジションなど、症例によるインプラントの埋入のポジションについて学べました。
次は加来 敏男先生による、ストローマンガイドサージェリーについての講義でした。多くの症例を見せていただき、内容もついていくのに必死でした。インプラントの埋入のポジションに関してはもちろんですが、上部構造の材質によっても周囲の組織に変化が出ることを知りました。今まではインプラントの性状や埋入の位置を気にしていましたが、上部の材質でも変化が出ることを知りました。
次は審美エリアでのインプラント補綴に関して田中 秀樹先生が講義をしてくださいました。ライフステージに合わせたインプラント治療の治療のあり方やフラップデザインの話、即時埋入と待時埋入の差に関して学びました。多くの症例を見せていただき、どの症例も歯頚ラインがきれいで感動いたしました。
1日目最後は児玉先生によるソケットプリザベーションの講義でした。角化歯肉の重要性や変化の仕方を学びました。また歯科領域の生体材料の特徴や作用機序に関して理解していないことが多くありました。
その後は鈴木先生によるケースプレゼンテーションがあり先生方のディスカッションには圧倒されました。自分も頑張って症例を作らないといけないなと感じました。1日目は長丁場の講義となり、内容も濃かったので相当疲れましたが、とても充実しておりました。
2日目は武田 孝之先生によるインプラントのリスクファクターに関する講義から始まりました。武田先生の講義では受講生の参加型の講義で回りの先生の意見も聞きながら楽しく講義が進みました。武田先生の講義ではそもそも患者さんの口腔内はなぜ崩壊したのか?ではそれは治療したらなおるのか?といった全体を見て診断をしていく方法で目から鱗でした。
最後は飯島先生によるストローマンインプラントに関する講義でした。私はストローマンインプラントを使ったことがなく、内容についていけるか心配でしたが、基本的なインプラントの構造は他のメーカーと変わらず、多くの症例や埋入ポジション、使い分けなど基礎から応用まで学ぶことができました。
この勉強会も折り返しに入りましたがまだまだ知らないことが多く、とても良い経験になっています。あとはリモートではなく先生方と対面で話が出来れば、尚良いかなと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
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KIRGを受講して
2021.8.21-22
第27期 古宮宏記 こみや歯科医院 (東京都葛飾区 )
8月のKIRG 100時間コースが行われました。今回も新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、対面実習込みの予定であった今回も全員Web受講に切り替わり、講師陣や現地スタッフの負担は計り知れなかったものと思います。しかしながら、回を重ね終盤に差し掛かるにつれ、より一層実践的でテクニカルな内容に突き進んでいくように感じます。
添島義樹先生
BLインプラントの特徴と臨床についてお話しいただきましたが、自分自身はここ最近インプラント補綴を治療の手技に取り入れたばかりで、いまのところBLインプラントのみしか埋入経験がなく選択肢にもなかったのですが、術後感染や審美的リスクを考えるとBLタイプ、特にBLTタイプは非常に有用な選択肢であると感じました。
加来敏男先生
埋入位置がシビアな症例や多数歯欠損の症例においてガイドサージェリーが非常に有用であるのは紛れもない事実であるが、不測の事態に瀕した際ガイドを使わずとも施術できる手技は持ち合わせておかないとならず、それを未然に防ぐための術前の土壌造り(GBR等)と診査診断は必要不可欠であるように感じました。
田中秀樹先生
切開線のデザイン等、非常に貴重でテクニカルセンシティブなことをご教授いただいたので明記は避けますが、矯正や軟組織委嘱も含めて多角的な治療手段や計画を立案することは非常に大切だと感じました。理想的な咬合形態はCusp to RidgeかCusp to Fossaかは、歯科医師内でも意見が二分する領域であると感じました。
児玉利朗先生
私個人として基本的にGBRや骨改造を伴った埋入を意識しており、アテロコラーゲンやアパタイト顆粒そして遮蔽膜を用いた骨造成方法は目から鱗でした。骨膜を減張切開で伸ばすか、メンブレン(遮蔽膜)を用いて術創を完全封鎖することは必要不可欠であることを、改めて自覚しました。
武田孝之先生
現状を治すことよりも、「なぜこのような結果になったのか」を考え、予後を予測する治療計画や患者説明は、常日頃から意識して臨床に取り入れていますが、それは間違っておらず、おごりに走ってはいけないと思い知らされました。
飯島俊一先生
埋入実習は本来ならば対面実習が行われるはずでしたが、今回はWeb講義となってしまい残念でしたが、機会があれば直接伺おうと思った次第です。
最後になりましたが、講師の先生方、KIRG会員の先生方、事務局の皆様のご尽力に心より感謝いたします。
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2021年 KIRG主催認定講習会
第5回(2021.8.21-8.22)
第27期 甲斐悠太 うさぎだに歯科口腔クリニック(熊本県熊本市)
今回で5回目と講習会も後半戦に入り、ますます深い内容の講義が続いていますが全国的に新型コロナウイルスによる感染症の全国的な拡大により全員web受講となりました。今回から実習が始まる予定でしたが延期になり残念でしたが、先生方のご講演は興味を惹くものばかりでパソコンのモニターを食い入るように見つめておりました。
新型コロナウイルス感染症の早期の収束を願っております。
1日目
添島義樹先生「ボーンレベルインプラントの特長と臨床」
ボーンレベルインプラント、ボーンレベルテーパードインプラントの登場により骨幅が狭小な部位や審美領域での治療がしやすくなり、骨造成など侵襲の大きな処置を避けることが可能になったことを学びました。症例に応じて使い分けが必要であると感じました。
加来敏男先生「ストローマンガイドサージェリーの臨床」
補綴主導型インプラントでは確実なインプラントの埋入が必要です。埋入位置、角度、方向、本数を理想的に評価し適切に埋入するにはガイドサージェリーが不可欠だと思います。院内ラボがあれば歯科医師と歯科技工士がいつでもディスカッションでき良質なものができるのではないかと思いました。
田中秀樹先生「審美的インプラント補綴と必要な術前処置」
結合組織移植術は審美領域の治療のみならず、歯周組織を良好に保つためにも必要な状況が良くあると思います。満足いく結果を出すためには十分な診査診断の上に成り立つものだと思いました。切開線を決めるにあたっても血流を考慮したり、骨造成を行う場合には変えたりと一通りではないことを学びました。全身や顔貌と口腔との調和も考慮しなければならないと思いました。
児玉利朗先生「ソケットプリザベーション」
抜歯後の止血剤としてスポンゼルを使用することが多かったですが、抜歯窩の頬側が陥凹することが悩みでした。コラーゲンを填入することで上皮の侵入を防ぎ、骨形態および歯肉の形態を良好に保つことができることを学びました。愛護的な抜歯、支持骨があるところでの縫合も必須であると思いました。
2日目
武田孝之先生「インプラントのリスクファクター」
先生方がご経験された症例を自分だったらどうするか考えることで学ぶことが多かったです。診断は1つであるが治療方針は複数ある中でさまざまな治療法を提案できるようになるためには幅広い知識と技術と学ばないといけません。現在の状態から過去を推察し、未来のリスクの評価をすることで考える力が身につくのだろうと思いました。
飯島俊一先生「ストローマンインプラントの基本と臨床」
ストローマンインプラントの歴史から外科の術式、印象採得、補綴まで幅広く学ぶことができました。インプラントのマイクロギャップを生じさせないための方法、トラブルがが生じた時の対処法、メンテナンスの方法を学びました。
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KIRG 2021年8月の講義を終えて
27期 中島 麻理 中島歯科医院(大分県宇佐市)
毎回高度な内容ばかりで、実のところついていくのがやっと(ついていけていないことの方が多いかもですが)で、何とか受講させて頂いております。私自身は、まだインプラント治療の経験が無く、これから頑張ってみようと思ってこの研究会に参加してみました。
簡単ですが講義の感想を書かせて頂きます
添島先生
ボーンレベルインプラントの特徴と臨床
ティッシュレベルとの違い(スレッドピッチの違いや、同じプラットフォームシフティングでも異なる点)や、材質や表面性状の違い、さらにテーパードのものは埋入のしやすさ、埋入部位に制約がある時でも選択肢となる可能性が高くなる事など、詳しいことまで理解できました。
加来先生
ストローマンガイドサージェリーの臨床
精密な治療計画と正確な埋入を行うために、ガイドサージェリーの重要性をお話し頂きました。ガイドを使えば、難症例に対しても成功率の高い施術を行うこともできるようでした。加来先生のようにベテランの先生ほど、きちんとした手順を踏んで治療に臨ませているのだと改めて感じました。
田中先生
審美的インプラント補綴と必要な術前処置
前歯部に限らず、臼歯部にかけての審美的な施術方法を紹介して頂きました。通状のインプラントにさらに増してとても高度な知識、経験、技術の必要とされる領域のように感じました。
結合組織移植に関しては、インプラント治療に対してだけでなく、他の症例でも有効なので、今後詳しく勉強していこうと思います。
児玉先生
ソケットプリザベーション
インプラント治療にとって、とても重要な施術内容であることは理解していますが、私にとってはとても高レベルな内容でした。テルプラグとテルダーミスの併用は、可能なら日常の治療に取り入れながら習得したいと感じました。最後に紹介された書籍も購入したいと思います。
ケースプレゼンテーション
受講生の先生の発表に対して、症例の選択や、書式等がケースプレゼンテーションのお手本になると、講師の先生のコメントがありましたので、とても参考になる発表でした。自分では疑問に感じなかった点も、他の先生方の質問や指摘によって意識が向いた内容も多々あり、KIRGが充実した勉強会であると改めて感じました。
武田先生
インプラントのリスクファクター 長期観察から見えたインプラント補綴の留意点
武田先生が経験された具体的な症例を通して、様々な患者が来院した時、その患者の過去を推測し、その上で今後起こりうるリスク等を予測する目線を養う必要性を深く感じることができました。そのような目を持つ意識をさらに高めて、今後自分の患者さんと向き合っていこうと思いました。
飯島先生
ストローマンインプラントの基本と臨床
難しい内容も多々ありましたが、ストローマンインプラントの歴史から、詳しい術式まで、お話して頂きました。実際の臨床では数種類のインプラント体から状況によって選択する必要性があり、当然ながら施術の技術の高さを求められる分野だと改めて感じました。
伊東歯科様はじめ、KIRGの事務局の方々の素晴らしい対応のおかげで、コロナ渦の中でもこうして受講できて大変ありがたく思います。
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第5回 KIRG受講 感想文
第27期 眞田知基 秋山歯科クリニック(東京葛飾区)
添島先生
・ボーンレベルインプラントの適応症や特徴など知らなかった知識を得ることができました。適応を選ぶことで臨床の幅が広がる様になると思うので学んだ知識をもとにしっかり考えて使い分けることができるようにしていきたいです。
加来先生
・ガイドサージェリーにおいて角化歯肉のマーキングやオペークレジンを用いたマッチング方法など臨床において今まで知らなかったコツを教えてもらい、有用な方法について学べました。また、遊離端欠損においてスリーブを余分に増やして沈下させないようにする方法などすぐにでも実践していきたいと思いました。
田中先生
・抜歯即時埋入においての注意事項や角化歯肉幅による切開の使い分けなど臨床的に有効なテクニックついて学ぶことができました。床なしでの義歯での乳頭を保存している方法など知らないことも多く勉強になりました。また、縦切開を入れる場所などしっかり考えてから行わないとフラップにも影響するため注意して行う必要があることも学べました。
児玉先生
・抜歯後の治癒形態が角化歯肉の有無で変わってくるということは今まで気にしていなかったことなので今後抜歯後の治癒形態をある程度予測できるような知識を得ることができてよかった。テルプラグとテルダーミスを用いてのソケットマネージメントを行い出来るだけ骨ができるようにしていきたいと思いました。また、縫合するも頬舌的に単純縫合してしまうとそれだけで陥凹してしまうと学んだのでしないようにしたいです。
武田先生
・現在の口腔内状態を見た際に、“なぜ”ということを考えておかないと同じ失敗をしてしまうのは当然のことであり、未来も含めたことについて説明できる知識を十分に得ていく必要があると思いました。1歯欠損においてもその部分だけでなく、骨格、歯列、支持組織も含めて診断・治療計画が立てれるようになりたいと思いました。
飯島先生
・ストローマンインプラントについて製品、術式、補綴方法など再度確認、理解できてよかったです。BLの方がスクリューが緩みやすいということも知らなかったのでBLを使用する際は注意して観察していかないといけないと思いました。メインテンス時に注目すべきポイントも教えていただき勉強になりました。