2023年度 認定講習会第1回 報告

2023年度 九州インプラント研究会第1回講習会を終えて

29期 落合友香 大阪府箕面市開業

 

4月15日(土)1日目

 

鮎川保則先生(九州大学教授)10:00~12:00

インプラントシステムの種類と表面性状

インプラントの歴史、インプラントシステムの種類と表面性状について講義をされました。

材料や形状・形態は現在に至るまで様々な研究と試行錯誤があり現在のインプラントがあり、更なる進化を研究されていることがわかりました。

インプラントシステムを自分で選ぶ際、インプラントの形状、表面性状、ボーンレベルかティッシュレベルか、エクスターナルかインターナルか、バットジョイントかテーパージョイントかなどそれぞれの利点欠点を理解し各症例に合ったシステムを選択する様にします。

 

阿部伸一先生(東京歯科大学教授)13:00~16:00

インプラントのための口腔解剖について

インプラント手術の際必要となる解剖について講義されました。

開業医になって何回か解剖の実習を受けましたがそれらはテクニックを学ぶことが目的で実技が主でした。

今回は手術に必要な解剖の知識、特に無歯顎の解剖学が勉強になりました。

インプラント治療を受けられる患者様の特徴としては歯の欠損があります。

歯が欠損することによって起こるであろう粘膜・骨や神経・血管の走行の変化を理解すること、確かな解剖学の知識を身につけることが安全な治療には不可欠であることを学びました。

 

湯浅賢治先生(福岡歯科大学教授)16:00~18:00

インプラント診療における画像診断支援

普段撮影しているデンタルやパノラマX線の特徴を改めて勉強しました。

パノラマX線の陰影の意味や患者様の位置設定による画像の変化などとても勉強になりました。

また最近では根管治療や埋伏歯の抜歯ではCTを撮影するのですがCBCTはアーチファクトが多いこと、特に根破折の診断時に根充材によるアーチファクトで破折したように見えることには注意しなければならないと思いました。またX線撮影時の線量を考慮し、人体に影響がない範囲で安全な撮影を心がけようと思いました。

 

 

Welcome Party(熊本ホテルキャッスルにて)19:00~

講義をされた先生方、九州インプラント研究会の先生方と美味しい食事をいただきながら歓談いたしました。

今回参加して驚いたのはとても高名な先生方であるのにもかかわらず皆様とてもフレンドリーで優しく気軽にお話しできる方ばかりでした。同期の先生方とも話ができて緊張がほぐれました。

 

4月16日(日)2日目

 

和泉雄一先生(東京医科歯科大学名誉教授)9:00~10:30

天然歯とインプラントの相違、解剖細菌免疫

インプラント周囲炎について、インプラントと天然歯の違いを理解し、原因となる細菌について現在までにわかっていることを学びました。

口腔内に存在する細菌について、まだ未知の細菌が多数存在しその未知の細菌がインプラント周囲炎に罹患している部位に多数存在するという話が興味深かったです。

またインプラントのプロービングの仕方や意義についても大変参考になりました。

 

伊東隆利先生(九州インプラント研究会 会長)10:30~12:00

インプラントの医療安全について

インプラント治療などの手術を行う際、万が一のことがあったときの対処法と万が一が起こらないため日頃から気をつけるべきことを学びました。他院のことですが、インプラント手術が原因で生じた死亡事故などの例を見て大変恐く思いました。リスクマネジメントを行い日頃から安全な環境での診療を行なっていきます。

 

澤瀬隆先生(長崎大学教授)13:00~16:00

インプラントの局所検査と治療計画

インプラント治療に必要な各種検査・口腔内写真・CBCT撮影・シミュレーションソフトなどを用いて三次元的にシミュレーションし補綴主導型に行うガイデットサージェリーの重要性を理解しました。

診断用ワックスアップは患者様に説明する際にも実際手にとってわかるので説明しやすく患者様も理解しやすいと思いました。(現在は大きなケースのみ作っていたので全ての患者様に作ろうと思いました。)

またオッセオインテグレーションについて、元来の意味とは違う意味で自分自身使っていたなと思いました。

「骨質」や「負荷の時期」について深く考えるきっかけとなりました。

 

 

第一回を受講して

これほどそれぞれの分野の第一線で研究・活躍されてきた先生方の話を聞ける機会は他にないと思いました。

どの先生も長年研究や臨床に真摯に取り組み、弛まない努力をされてきたのだと思いました。

私の臨床も九州インプラント研究会の受講生として自分自身、恥じないように勉強し努力していきたいと思います。よろしくお願いいたします。


2023年度 九州インプラント研究会第1回講習会を終えて

第29期 福岡歯科大学医科歯科総合病院  中上昌信

 

2023年4月15日、16日に熊本市国際交流会館にて第1回認定講習会を受講いたしました。今年はコロナが落ち着いてきたので、対面での講義が行われました。緊張の中迎えた初日でしたが、講師の先生方やスタッフの皆様に、暖かい雰囲気で迎えて頂き、落ち着いて講義を受講することができました。ありがとうございました。

ここからは講習会の報告をさせていただきます。講義が行われる前に、九州インプラント研究会の会長である伊東隆利先生の開講式講習会概説から始まりました。九州インプラント研究会の歴史の深さや、九州インプラント研究会に対する想いがとても良く伝わるお話でした。この講習会で終わりではなく、専修医、専門医を目指し生涯学び続けようと思えるような概説でした。

1日目最初の講義の鮎川保則先生にはインプラントの歴史、インプラントシステムの種類と表面性状について講義をしていただきました。現在に至るまでのインプラントの歴史、表面性状の変化や論文や文献をベースとした講義はとても勉強になりました。

1日目午後、阿部伸一先生にはインプラントのための口腔解剖について講義していただきました。講義では、解剖学の書籍等ではお目にかかることのできない豊富な標本写真と、その詳細な解説により顎顔面解剖の理解をより一層深めることができました。解剖学的な知識が曖昧であったため、再度学び直させていただきました。歯牙喪失後の個々の組織の位置変化についても学ぶことができました。

1日目の最後は湯浅賢治先生のインプラント診療における画像診断支援について講義していただきました。福岡歯科大学で湯浅先生にはお世話になり、今回の講義を受けて学生時代を懐かしく感じました。楽しく分かり易い講義をしていただき画像診断学について、理解を深めることができました。

2日目の最初の講義は、和泉雄一先生の天然歯とインプラントの相違、解剖細菌免疫の講義をしていただきました。やはり歯周とインプラントは切っても切り離せない関係にあると感じました。私は大学の歯周病科に所属しているため、今まで学んできたことを確認しながら講義を聞くことができました。歯周病リスクの高い患者にインプラントを埋入しても長期維持が難しいため、天然歯と同様にプラークコントロールが大事であることを改めて感じた講義でした。

2日目午前最後は、伊東隆利先生のインプラントの医療安全について講義をしていただきました。インプラント治療を行うには起こりうる危険性やリスクなどを考慮した上で、患者のみならず、スタッフや自分自身を守っていくことを学びました。ゴム手袋の捨て方も今までは最後まで口を縛らずに捨てていたので、今後は最後まで口を縛ってから捨てることを意識していこうと思いました。

2日目午後は、澤瀬隆先生のインプラント局所検査と治療計画について講義をしていただきました。検査に必要な項目、データ収集のコツなどを教えていただきました。今回の講義で客観的なデータを残すことの大切さを学びました。

以上、二日間の密度の濃い講義内容でした。講義時間だけでは全て吸収することは難しかったため、しっかり復習しようと思います。これから8ヶ月間よろしくお願いいたします。


第29期KIRG認定講習会

第1回感想文

第29期 櫻井博之 さくらい歯科(広島県広島市)

 

・伊東先生(講習会概説)

KIRGの歴史や講師の先生方についてなどを知ることができました。これから高名な先生方のご講演を拝聴することになるとのことで身が引き締まりました。

 

・鮎川先生

インプラントの歴史、種類、表面性状についてのご講演でした。

私自身としましては歴史や過去のインプラントシステムについて、何となく聞いたことがあるという程度でしたが、画像などからもより具体的に学ぶことができました。先人の先生方の研究・臨床により現代のインプラント治療があることを改めて感じさせられました。

 

・阿部先生

実際の遺体画像や新鮮遺体での動画をご提示いただき、インプラント治療を行うにあたって必要不可欠な解剖学についてはもとより、退行性変化に伴う基本的な治療の考え方、口腔内小手術における注意点について理解を深めることができました。

 

・湯浅先生

各種画像診断についての特徴と診断における注意点のご講演でした。

見落としやすいポイントや、パノラマ撮影においてより診断しやすい撮影法について学ぶことができ、日々の画像診断に落とし込んでいきたいです。

 

・和泉先生

天然歯とインプラント周囲組織の相違点、歯周炎とインプラント周囲炎の相違点についてのご講演でした。

またインプラント周囲炎の病態を詳しく学び、より一層インプラント周囲炎を起こさせない環境づくりの重要性を感じました。

 

・伊東先生

医療安全に関するご講演でした。

冒頭から物事を注意深く見ることの重要性を学びました。

実際の医療事故例をご提示いただき、危険を予測する目を養い、先回りして危険回避の行動を取ることの必要性を再認識致しました。

 

・澤瀬先生

インプラント治療における各種検査、治療計画についてのご講演でした。

客観的評価として数値化することの重要性、インプラント治療における成功または生存という用語の正しい使い方、骨質についての研究について学びました。

良質な歯科治療を提供するため、今後の講義でも適切な診察・診査・治療計画立案並びに治療手技について深く学んでいきたいと存じます。

2023年度開講式

開会のご挨拶 森永太先生

受講生代表挨拶 島村怜先生

インプラントの歴史 鮎川保則先生

解剖学の講義 阿部伸一先生

受講風景

歯科放射線の講義 湯浅賢治先生

懇親会 集合写真

懇親会 伊東会長挨拶

天然歯とインプラントの相違 和泉雄一先生

医療安全講義の実習

質疑応答

局所検査と治療計画 澤瀬隆先生

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