2024年度 九州インプラント研究会(KIRG)第4回 感想文
第30期 伊東歯科口腔病院(熊本県) 右田 柔志郎
香月 武先生
口腔外科手術の知識と実技についての講演と講義でした。講義においては「インプラントを埋入するということは体内に異物を入れることだ」ということがすごく改めて感じさせられた内容でした。現在は抗菌薬が普及しており、ある程度の術後の感染をコントロールできるようにはなっていますがやはり根本的には体内に異物を入れていることには変わりはないので術野の環境(できれば手術室で行う)を整えたりすることも大切だということを学ぶことができました。実習においては豚骨を使用して縫合の仕方やメスの使い方、手術器具の持ち方など基本的口腔外科手術の手技について学ぶことができました。自分の手技を再度見直すきっかけになりました。
飯島 俊一先生
Straumann Dental Implant System の基本についての講義でした。ストローマン社インプラントの形状や表面処理、材質などの今までの変遷について学ぶことができました。講義の後TLインプラントとBLインプラントを実際に模型に埋入する実習を行いました。
ステップに沿って行いましたが埋入位置や埋入方向の難しさを痛感し一つ一つの確認が必要であることを実際に実習で感じることができました。またBLとTLの埋入深度の違いに関しても実感することができとても有意義な時間を過ごせました。
児玉 利朗先生
ソフトティッシュマネージメントについての講義、実習でした。歯槽上線維装置などの基礎知識から切開線の変遷、口腔領域の血管支配領域について学びました。実際血管の支配が異なる部分の治癒形態が明らかに遅いと感じていてはいましたがなぜそうなっていたのかが明確に感じることができました。また状況に応じてテルダーミスを使用することで治癒が良くなったり、場合によってはFGGを採取しなくても良くなったりすることはとても勉強になりました。
また実習においては豚骨を使用して全層弁、部分層弁、減張切開、遊離歯肉移植術を学びました。骨膜縫合を行うことが難しく縫合針の運針方向の鍛錬が必要だと感じました。
森永 健三先生
硬組織のマネジメントについての実習および講義でした。
実習では豚骨にトレフィンバー、スクレイパー、ピエゾサージェリーを用いた骨採取を行い、採取骨を用いてGBRの実習も行いました。またピンを用いてメンブレンの固定も行いました。特にピエゾ、トレフィンバーで海綿骨に達する時の感覚やメンブレンの材質、固定の感覚は忘れないようにしたいと思いました。骨採取においてもどこに神経や血管が走行しているか解剖学的知識に加えて術前のCBCT等で十分に診査した上で処置が必要であると学びました。
また講義では移植骨のサイズによる吸収速度の違いやGBRの重要性について学びました。骨造成を適正に行うことで、いままでは既存骨が少ないことが理由でインプラント埋入ができないという患者に対しより安全にインプラント治療を選択できるようになるかもしれないのでしっかりと学ぶ必要性を感じました。
九州インプラント研究会 第30期 第4回認定講習会を終えて
中西志帆(伊東歯科口腔病院)
香月武先生 「外科的知識と実技」
「折り紙で鶴を折る」というまさかのスタートからはじまり、「手術の心構え」から「基本手技」まで丁寧に教えていただきました。インプラントは異物を入れる手術になるため特に清潔手技が大切で、そのためには手術室や滅菌、手洗いなど「清潔」に気をつけて手術に臨む必要があると再認識しました。また基本的な器具の使い方や選択方法をいただいた教科書をもとに学び、実際にその後は手作りの縫合キットで縫合の練習や豚顎骨を用いて切開、縫合、減張切開等の手技のレクチャーをうけました。減張切開時に鋏を用いて骨膜を切離する方法だと出血もなく明確に骨膜を切れるというコツなども学び、基礎的な手技の中にも新しい発見があり有意義な実習でした。
飯島俊一先生「ストローマンインプラントの歴史と埋入実習」
1984年にストローマンインプラントが日本に入ってきてから現在までのインプラントの変遷を知り、常に技術は進歩しており、常に私たちも学び続けなければならないのだと実感しました。講義のあとはストローマンインプラントキットで、TLとBLのインプラント体の埋入実習を行いました。埋入窩を形成する際に前方からだけでなく、近遠心的な距離をミラーを利用して多方向から確認する必要性を実感しました。
児玉利朗先生「ソフトティッシュマネジメント講義・実習」
軟組織の取り扱いは非常に大切で、歯肉・角化付着粘膜・歯槽粘膜の組織学的構造や天然歯とインプラントの周囲組織の差異、またその知識に基づいた切開線のデザインや手術手技など、今まで行なっていた手技もこれほどの裏付けが必要だったのだと感じました。角化付着粘膜獲得について、切開線のデザインや治癒過程まで、豊富で非常に繊細かつ経過の長い症例をもとに講義いただき理解が深まりました。
その後の実習では豚骨を用いて実際に歯冠長延長術やFGGの手技を見て実践し、縫合のコツやグラフト片の位置付け・固定方法など細かいポイントも教えていただき、明日以降の臨床でもぜひ実践したいと思うような内容でした。
森永健三先生
「硬組織のマネジメント」
GBR時に必要な自家骨の採取方法や採取した移植骨の取り扱いについて、講義と実習を行いました。ピエゾサージェリー®️・トレフィンバーを使用してブロック骨の採取→ボーンミル®️での粉砕、Kトレフィンバー・スクレイパーを用いた小骨片の採取、Bio-Ossやバイオガイドを用いたGBR、ピンでの固定など、非常に多くの器具や材料を用いての実習であり、実際使用したことのない材料の使用感も体感できました。また講義では適応や材料の特徴(適応外使用でないかなども)まできちんと把握した上で選択し使用すること、正確な術前診断と徹底した術前の準備が必要だと再認識しました。
両日ともに実習時間がもっとほしいなと思うほど、とても充実して有意義な時間となりました。明日からの臨床に生かしていきたいと思います。
九州インプラント研究会第30期
飯田 康平 (熊本市 伊東歯科口腔病院)
香月 武先生
以前抗菌薬が発展しなかった時代における清潔である事が如何に生命を救う事に直結していたか認識できました。手術に臨む際の心構え、一つ一つの手洗いの手順、手術室を置くことの重要性など再確認する事ができました。
また、手術の手技ではまず持針器の持ち方、メスホルダーや縫合針の選び方、剥離子の正しい運び方や縫合の手技、ヘッドランプを用いて深部まで確認する事など口腔外科の基礎を学ぶことができました。明日からでもすぐに実践できる内容でしたので日々意識して臨床に臨みたいと思います。
飯島 俊一先生
実習形式でインプラントの埋入について教えていただきました。
“自分では真っすぐ埋入できているつもりでも、意外と近心に傾いている事が多いんだ”
実際に模型上で手を動かして何度も方向を確認しても、飯島先生の仰る通りインプラントの軸が近心に傾いていた事にとても驚きました。実際に手を動かしてみる事で講師の先生方の気持ちが理解できるようになり、それを繰り返し研鑽を積む事でよりよい治療を提供できるという事を学ぶ事ができました。
児玉 利朗先生
歯周組織における基礎的な知識を改めて確認し、そこからインプラントの周囲組織とどのような違いがあるかという事を押さえ、その上で歯周外科における切開線を設定する基準や目的、角化歯肉の重要性について学ぶ事が出来ました。
FGGの実習では、移植片を採取する際のNo.11メスの動かし方や角度、減張切開のコツや骨膜を残して剥離する際の骨膜剥離子の動かし方など学ぶ事が出来ました。角化歯肉が少ない患者に対して治療を行う際に、この実習で習得した事を活かし角化付着粘膜分類を指標にして実践していきたいと思います。
森永 健三先生
インプラント治療における骨造成について学ぶ事が出来ました。骨再生、骨増生、骨造成の違いからまずは知識を深め、それを活かすのに必要な条件や意義、適応について深く学ぶ事が出来ました。インプラントを入れたくても骨の量が少ない方は多いかと思います。その中で何が一番その患者にあっているかという事を選ぶ際に必ず必要になる知識だと思います。全身的な状態も考慮しながら今回学んだ知識を活かしたいです。
骨移植で用いられるトレフィンバーやバリオサージなどを実際に手にして骨片を採取する事で普段得られない感覚を学ぶ事が出来ました。骨髄に抜ける感覚やバリオサージの刃先を進める際の力加減や方向、実際に採取した骨をボーンミルで粉砕しGBR法で移植する経験はとても貴重でした。
懇々と諭すが如くの香月武先生の名講義
まずは縫合の基本から
香月武先生の実習を支える左から添島義樹先生、堀川正先生、加来敏男先生
いざ豚骨実習へ
今回から受講生診療所の歯科衛生士の参加も始まりました
KIRG正会員も実習指導に参加(森永太先生)
飯島俊一先生のストローマンシステムの講義
熱心に食い入るように聴講する受講生
模型実習
児玉利朗先生の豚骨を使って軟組織の取り扱い
KIRG正会員も指導に参加(加来敏男先生)
森永健三先生のダイナミックな骨組織の取り扱い実習
手取り足取りの指導(森永健三先生指導)
ビデオデモ