2024年度 認定講習会第7回 報告

2024年度 九州インプラント研究会第7回講習会を終えて
稲城ふじせ歯科クリニック 藤瀬和隆

1日目
・和泉雄一先生「歯科領域の再生治療最前線」
歯科領域における再生治療についての講義でした。特に歯周病治療における再生療法についての変遷や現状について詳細を知ることができました。今回の講義を通じて歯周組織再生療法の術式や評価基準、またリグロスなど使用される材料についての解説もあり理解を深めることができました。

・児玉利朗先生「ソケットプリザベーション」
抜歯創の治癒様式や分類についてやリッジプリザベーションについての講義でした。抜歯後の創部の治癒に対しての考え方やバツ字での縫合などの術式を含めた対応について理解を深めることができました。創部に用いる生体材料についても創傷被覆材や抜歯創用止血材などの分類についての解説もありました。特にテルプラグの有用性についてや、具体的な使用法についても知ることができました。

・西村正宏先生「骨増生材料の現状と課題」
はじめに骨増生におけるゴールドスタンダードである自家骨採取リスクと限界についての講義内容でした。また骨増生に用いる遮断膜についての解説もありました。また骨補填材に関する解説を通じて数多く分類や種類がある材料に関して非常に理解を深めることができました。他にも成長因子や血液濃縮液や細胞治療について解説もあり、更に知識や理解が深まりました。

・伊東 隆利先生「保険適応のインプラント治療」
保険収載の広範囲顎骨支持型補綴装置や埋入手術についての講義でした。特定療養費制度や広範囲顎骨支持型装置の内容や歴史について理解することができました。また実際の症例を通じて行われた手術なども供覧させて頂きました。今まであまり触れたことのなかった保険適応のインプラント治療について知ることができる講義内容で、非常に貴重な経験となりました。

 

2日目
・土屋嘉都彦先生「インプラントオーバーデンチャー」
インプラントオーバーデンチャー(IOD)についての講義内容でした。義歯へのインプラントの適応や応用について理解を深めることができました。固定式と可撤式の上部構造の比較などで、どういった時にIODを選択するのか症例を通じて勉強することができました。費用や条件が許す限りは固定式が望ましく、IODを行うにも義歯をよく理解して導入することが大切であると感じました。コンビネーションシンドロームと言う用語も初めて知りました。

・若松陽子弁護士「インプラント治療に関する法」
インプラント治療と法律に関する講義内容でした。法にまつわる基本的な知識の整理や、また判例を通じて気を付けるべき内容なども学ぶことができました。明日は我が身と言う気持ちで耳の痛い内容や緊張感が伝わってくるようなも多く含まれていましたが、今回の講義を通じて改めて気持ちを引き締めて診療に望んでいこうと思いました。

・渡邊文彦先生「インプラント医療の展望」
インプラント医療の展望と言うことで、口腔インプラント治療のトラブル、トラブルを最小限にするためには、インプラント受診患者の加齢と対応などについての講義内容でした。傾斜埋入や曲げ強度、アバットメントスクリューの締め付け強さに関する基礎的な研究データなども踏まえた内容の説明がありました。臨床的な内容も盛り込まれており、更に高齢者に対するインプラント治療の対応や課題に関する講義内容もありました。非常に幅広い内容で勉強になりました。

・副島太悟「訪問診療の現状と課題」
日本における超高齢化社会の現状や、高齢者の口腔の現状と口腔ケアの重要性についての講義でした。写真や動画を交えて実践的な口腔ケアの方法も学ぶことができました。また認知症についての解説や、実際にインプラントが入っている高齢者の口腔ケアを行っている症例を通じて具体的な対応方法も勉強できました。更に多職種との連携を取る大切さも実感することができました。
夜行われた懇親会も非常に美味しい中華を堪能しながら楽しい時間を過ごせました。


2024年度 九州インプラント研究会第7回 講習会を終えて

30期 石森 昭二(大月デンタルケア)

1日目
・和泉先生
歯科領域の再生治療最前線についての講義になりました。今までの歯周治療の変遷から現在再生日本で認可されている治療材料までを学び、特にインプラントに限る話しだけでなくフラップ手術でのエムドゲインやメンブレンの事を改めて聞けてとても学びになりました。
また最後に歯髄象牙質再生治療法という臨床の場に出てくるのは遠い未来かもしれませんが、こういった治療法が確立されたら患者さんにとってはインプラント以外の治療の選択肢が増えてとても良いなと感じました。

・児玉先生
ソケットプリザベーションについての講義になりました。抜歯後の治癒過程を改めて学び、そこでどういった材料で創傷治癒を促し良好な抜歯創を形成する重要性が大事かを知りました。特に骨膜内にテルプラグを入れるアウトサイドテクニックは明日から使える術式だと思いました。また最近ではスポンゼルが販売中止になったのでこれからテルプラグまたはボナークなどの需要は広がると思うのでとても有意義な時間でした。

・西村先生
骨増生材料の現状と課題についての講義になりました。自家骨採取のリスクとその有用性を天秤にかけた時に自分は口腔外科出身では無いので、やはり小規模な採骨ツールと遮断膜を用いた術式が合っているかなと思いました。
もちろん大規模な採骨の有用性とリスクは知っている、知らない、だと治療の選択肢の幅が変わるので、患者さんにはキチンと説明した上で専門性の高い病院を紹介しようと思います。
また国内で歯科適用が認可された骨補填材関連製品はこんな多くの種類があるのだと驚き、今後はキチンと使い分ける知識が大事だと思いました。

2日目
・土屋先生
インプラントオーバーデンチャーについての講義になりました。正直講義を聞く前はインプラント初心者でも手軽にできる治療と思っていましたが、改めて講義を聞いた後ではインプラントの知識はもちろん補綴全般、特に全部床義歯の知識もなくては難しい治療であることを知りました。まだ症例としてはやった事がないのでもしそういった症例に会う機会があれば慎重に行いたいと思いました。

・若松先生
インプラント治療に関する法についての講義になりました。今までの講義とは大分畑が違って歯科医療に携わる者としてとても勉強になる講義でした。特にインプラント治療は生命に関わる可能性があるので歯科の知識だけでなくキチンとしたインフォームドコンセントと契約書が自分の身を守るためにも法律的にも重要なんだと改めて知りとても有意義な時間でした。

・渡邊先生
インプラント治療の展望についての講義になりました。インプラント治療をしたは良いが埋入した後のトラブルとして、特にどの様にしてロストしてしまうかがとても参考になりました。埋入した後の咬合接触点も大事で中央窩より頬側咬頭に入れない事はもちろん、スクリュータイプとセメントタイプのブリッジの選び方などいかに埋入後の補綴が重要かを学びました。
これから上部補綴を考える時には特にそういった所を考えようと思います。

・副島先生
訪問診療の現状と課題についての講義になりました。今は30人に1人はインプラントが入っている計算なので、今の日本は超高齢社会で高齢者の口腔ケアについての実態を知れました。特に私自身も訪問診療に携わっているので他職種との連携の重要性や口腔ケアの実践を副島先生のやり方を知れてとても良かったです。
またこれから居宅の人でインプラントをしていく人は増えていくと思うので、ますますインプラントの知識とそのケアの重要性が大事なんだと知れてとても有意義な時間でした。


九州インプラント研究会第30期 第7回(10月)   受講感想文
武井 優介(福岡市、武井歯科医院)

和泉 雄一先生(歯科領域の再生治療最前線)
歯周治療の変遷をご説明していただいた上で、歯周組織再生療法についてご講義していただきまし
た。
歯周治療におけるEMDの適応症についても文献を用いて教えていただき、より理解が深まりました。
インプラント治療には不可欠な歯周治療についても詳しくご講義いただき、とても勉強になりました。
必要に応じて該当患者へは、歯周組織再生療法を行っていきたいと思いました。

児玉 利朗先生(ソケットプリザベーション)
抜歯後の歯槽堤吸収を抑制し、その後のインプラント埋入を有利にするために行われるソケットプリザベーションについてご講義していただきました。
抜歯創頬側におけるSoft・Hard Tissue診断分類をした上でテルプラグ、テルダーミスを用いた実際の臨床での対応を詳しく教えていただきました。
個人的に質問させていただいた内容で、ソケットプリザベーションでテルダーミスを使用する際は、メッシュ補強タイプを使用した方がよいと教えていただき、また大きさは抜歯窩と同じ大きさにして、端を6カ所縫合するとよいと教えていただきました。
早速、その後の臨床で実践させていただき、大変勉強になりました。

西村 正宏先生(骨増生材料の現状と課題)
骨増生材料とそれに使用されるメンブレンについて、実際の商品名も含めて全ての用途と特徴をわかりやすく分類分けして、教えていただきました。
その中でも国内で認可されているもの、認可されていないものがあり、インプラント学会での症例には認可されてないものは使用できないので、注意して使用する必要があると再認識しました。
また、骨補填材料関連製品の歴史、成長因子関連製品の歴史、幹細胞治療に関する研究・法律・実施年表についても詳しく教えていただき、より理解が深まりました。

伊東 隆利先生「保険適応のインプラント治療(広範囲顎骨支持型補綴装置、埋入手術)」
保険収載の広範囲顎骨支持型補綴装置についてご講義していただきました。
保険適応でインプラントを行うためには、適応症の条件を満たす症例であることと実施施設基準を満たしていることが必要で全国的にも実施医療機関が少ない現状があるということを学びました。
広範囲顎骨支持型補綴装置について学ぶと同時に伊東歯科で行われている高度な外科治療の数々に圧倒されました。
講義を通して、保険適応でのインプラント治療についての理解がより深まりました。

土屋 嘉都彦先生(インプラントオーバーデンチャー)
「インプラントオーバーデンチャーは術者の不十分な技術を補うものではない。」というご講義序盤での先生のお言葉が大変印象深く残りました。
コンセンサスによると、上下無歯顎の患者さんに対しては、下顎2本のインプラントがファーストチョイスということを学びました。
さらに、上顎4本、下顎2本のインプラントがマストということも学びました。
そして、顎堤がしっかりあり、噛めている状態であればインプラントオーバーデンチャーにする必要がないということも学びました。
オーバーデンチャーの特性を理解して、今後は治療計画を立てていきたいと思いました。

若松 陽子先生(インプラントに関する法)
実例を挙げて、インプラントに関する法律についてご講義していただきました。
講義を通して、歯科医師としての治療に対する責任の重さを改めて再認識させられました。
残念ながら、今までインプラントに関連した医療事故が起きており、様々な訴訟が行われている現状を学びました。
自分がその当事者に絶対にならないように、さらに研鑽していく必要があると思いました。

渡邉 文彦先生(インプラント医療の展望)
様々な文献を基にトラブルを極力避けるためのインプラント治療についてのご講義をしていただきました。
ご講義の中で印象深く勉強になった点は、エクスターナルのゆるみが一番少なく、テーパージョイントは逆にしっかりしまっているから緩むということでした。
また、各メーカーがある程度径を揃えてあるのは適材適所に使ってくださいというメッセージということも教えていただき、よりインプラント治療に対しての理解が深まりました。

副島 太悟先生(訪問診療の現状と課題)
超高齢社会である日本において、他職種と連携して訪問診療を行う重要性を教えていただきました。
脳血管障害や認知症といった要介護状態になる前に施されたインプラント治療が、健康に対してケア次第によっては弊害になってしまうことを学びました。
様々なリスクも考慮して、患者のライフステージを意識してインプラント治療を行うべきと思いました。

熱心聞く受講生、正会員

和泉雄一先生 再生治療、歯周病からインプラントまで

児玉利朗先生 ソケットプリザベーション

西村正宏先生 鹿大から大阪大へ移られ久々の講義

熱心に質問

伊東隆利会長 広範囲顎骨支持型装置・埋入手術の講義

土屋嘉都彦先生 インプラントオーバーデンチャーの講義

若松陽子弁護士 法律の講義 にこやかに綺麗なお声でグサリ!!

渡邉文彦先生 インプラント展望の大きな視野での講義

副島太悟先生 訪問診療のお話し

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