九州インプラント研究会 第30期
第3回認定講習会 感想文
武井 優介(武井歯科医院)
福田 謙一先生
麻酔と全身管理、救急救命処置についてご講演していただきました。
外科処置をする際にバイタルサインを持続的に観察できるモニターの重要性を強く感じました。また、緊急時の対応を学ぶことができました。
外傷性神経感覚障害患者の中に、インプラント手術によって引き起こされた事例が一定数あることをデータによって教えていただき、障害されてしまった神経繊維は元に戻らないことも教えていただきました。
今後もインプラント手術を行うにあたって、適切な診査、診断を行い、下歯槽神経が近いケースに関しては慎重に対応することを改めて認識させられました。
福田 謙一先生 堀川 正先生
点滴実習では、各自グループが組まれ、模型を使い、点滴実習が行われました。
点滴の経験がなかったため、静脈確保の難しさを知るとても貴重な経験になりました。
それと同時にそれなりの訓練が必要になることも学び、今後取り組んでいかなければいけないことを痛感しました。
竹下 文隆先生
サージカルガイドとシュミレーションについてご講演していただきました。
インプラント治療における術前診査の歴史を教えていただきました。過去のシュミレーションの変遷を知ると、現在ではインプラント手術において必須であるCTの登場がどれほど革新的だったかを改めて思い知らされました。
トレース実習の後に、インプラント手術ナビゲーションシステムを実際に体験させてもらいましたが、骨内でのドリルの位置が確認でき、デジタル技術の進化を肌で感じさせてもらい、大変興味深かったです。
ナビゲーションシステムの中でも、X-GUIDEを導入されているとのことでしたので、手術見学をさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
澤瀬 隆先生
専門医制度ケースプレゼンテーションについてご講演していただきました。
日本口腔インプラント学会には、専修医、専門医、指導医の認定制度があり、取得条件を教えていただきました。
取得条件には規定の症例数、規定の症例には補綴後2年以上の経過良好症例の資料が必要なことを知りました。
そのため、日々の臨床を専修医取得の条件等を意識して研鑽しなければいけないことを再認識しました。
飯島 俊一先生
各種インプラントの臨床とインプラント補綴種類と製作法CAD・CAMについてご講演していただきました。
インプラント治療の長期予後を追求し、インプラントを開発してこられた歴史を教えていただきました。まだインプラント治療初心者の自分にとっては非常に衝撃を受けました。
インプラント形態について、その形態についての利点、欠点を症例やデータに基づきとても詳しく深く教えていただきました。
1日に2度ご講演いただき、一番印象に残っているのは、インプラント周囲炎の防止、メカニカルトラブルの防止、骨の減少に対応できるインプラント形態がエクスターナルテーパーロックインプラントだとおっしゃっていたことでした。
堀川 正先生
静脈内鎮静法についてご講演していただきました。
実際の患者様からの手紙で、我々が思っている以上にインプラント治療は患者様には心理的、身体的に負担があることを教えていただきました。
そして、静脈内鎮静法がそういった患者様にとっては様々な負担を軽減する大切な技術だということも知ることができました。
堀川先生のこれまでの経歴から、ご自身で静脈内鎮静法をされていることを知り、よほどの覚悟を持ってこれから研鑽しないとなかなか自分でその技術を習得するには難しいことも教えていただきました。
佐藤 隆太先生
口腔内写真撮影についてご講演していただきました。
口腔内写真撮影についての基本的な撮影法や知識を詳しく教えていただきました。
特に印象に残っているのが、一眼レフカメラについて、f値、シャッタースピード、ISO感度についてわかりやすく教えていただき、普段使っているものについての理解がさらに深まり、大変勉強になりました。
またツインフラッシュ、リングフラッシュについての違いもわかりやすく教えていただき、理解が深まりました。
第30期KIRG認定講習会 第3回講習会を終えて
平井歯科医院 平井淳也(山鹿市)
6月15日(土)
福田謙一先生
口腔インプラント埋入手術のリスクマネージメント 麻酔と全身管理、救急応急処置
今日の高齢化社会において何らかの疾病を持つ患者様が多く、全身疾患の把握が大変重要になります。問診、服用中のお薬を把握し、患者様の予備力を推測することが大切であることを学びました。また、アナフィラキシーショック等患者様の急変はインプラント埋入手術中に限らず日常の診療中にも起こりうることでありその対応について改めて知ることができました。
点滴実習におきまして、マネキンでの静脈確保の実習は、学生時代に相互実習で行って以来でしたが、実際の患者様に確実に静脈確保ができるか不安な面も残りました。
竹下文隆先生
サージカルガイドとシミュレーション
サージカルガイドの作製方法の変遷のお話があり、デンタル、パノラマ写真では不十分であり、歯科用CTの活用が必須であることを再確認しました。
シミュレーション機器についてはとても便利なものだと感じましたが、手術にはイレギュラーなことが起こる場合があり、知識、技術の習得後の利用が望ましいのではと思いました。
澤瀬隆先生
ケースプレゼンテーションの進め方 専門医制度
ケースプレゼンテーションのためには初診時の口腔内写真、検査の記録を残すことが大切であるとのお話がありましたが、日々の臨床の中で、忙しいときや、急性症状があるときなど初診時の資料を採取し忘れる場合があり気をつけたいと思いました。
6月16日(日)
堀川正先生
静脈内鎮静法の理論と実際
歯科治療における局所麻酔下での処置は、自分が考えている以上に患者様に強いストレスを与えており、インプラント治療を受ける年齢が60~70歳代が一番多く、何らかの合併症を持ち予備力の低下があるため、緊張を和らげる一つの方法として鎮静法が患者管理に大変有効であるとのお話がありました。
また術中の患者管理にはバイタルサインのモニタリングが大変重要であると認識しました。
飯島俊一先生
各種インプラントの臨床
インプラント補綴 種類と製作法CAD/CAM
多くの種類のインプラントの中から最適なインプラントを選択するには各種インプラントの材料、サイズ、デザインなどの特徴を理解することが必要であること、インプラント治療を長期的に成功させるために何が必要か、インプラントと天然歯の両方をいかに持たせるか等のお話がありました。特に印象に残ったのは飯島先生が考案されたITインプラントです。顎骨の狭い部位に径の細いインプラントを埋入され、破折等のトラブルもなく長期に良好に経過している症例を多数拝見できました。それとテーパロックのクラウンはセメント固定、スクリュー固定に比べて着脱が容易でドクターの手を煩わせることが少なくメインテナンスしやすいことを理解しました。またエナメルは極力削らない、失活歯にしないようにとおっしゃっていたことが記憶に残りました。
佐藤隆太先生
口腔内規格写真撮影
口腔内規格写真を経年的に撮影し記録することはプレゼンテーションのためだけでなく患者様、歯科医師自身、スタッフにとって貴重な財産になることを再確認しました。
九州インプラント研究会 第30期
西村賢人(中川歯科医院)
福田謙一先生
インプラント埋入手術のリスクマネージメント、麻酔と全身管理、救急応急処置に関しての講演でした。インプラント埋入手術は骨外科手術であること、手術時間が比較的長時間におよぶこと、局所麻酔の使用があること、患者さんの不安も大きいこと、患者さんの年齢が比較的高いことから、全身的な管理を徹底しなければならないことを改めて理解しました。生体モニターで血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度を測定しながら手術を行うことの大切さ、緊急時の対応を改めて自分の中で整理することができました。インプラント手術に限らず、今後の診療に生かしていきたいと思います。
点滴実習もあり、なかなか自分自身ルートをとることができず数をこなすことが重要であると感じました。
竹下文隆先生
サージカルガイドとシミュレーションに関する講演でした。CTがインプラント治療にもたらした影響や、これまでのインプラント治療の歴史、現在そして未来のインプラント治療を学べました。術前診査へのCT利用から始まりサージガイド、ナビゲーション、ロボットによる手術などデジタル化が進むことによりインプラント治療は進化していくことを実感しました。また、パノラマのトレース実習では口腔の解剖を再認識することができ、実際にトレースをすることによって理解が深まりました。またナビゲーションを体験することができ、かなり貴重な経験ができました。
澤瀬隆先生
ケースプレゼンテーションの進め方、専門医制度に関する講演でした。ケースプレゼンテーションのために口腔内写真やエックス線写真等の資料をそろえることは自らの治療を客観的に振り返るためにとても重要であることを理解しました。またそのような資料をそろえて発表する際に正当性、論理性が必要でありそれらをしっかり考えることによって日々の臨床における治療行為に対してエビデンスを持つことができ、臨床能力を高めることにつながると感じました。また実際にインプラント専門医のためのケースプレゼンテーション試験において必要な資料、条件等を整理することができました。
飯島俊一先生
各種インプラントの臨床、インプラント補綴の種類と製作法の講演でした。インプラント治療を行うにあたって、たくさんの種類のインプラントの中から最も適切なインプラントを選択する必要があり、そのためにはそれぞれのインプラントの特徴を把握しなければならないと実感しました。長期的な成功をするにはインプラント周囲炎を防ぐこと、メカニカルトラブルを防ぐこと、骨の減少に対応すること、天然歯との共存を図ること、メインテナンスを徹底することが重要でありそのうえで適切な治療計画を立てる必要があると感じました。まだ基本的なインプラントの構造や考え方を理解できていないことに気づかされ、今後の課題が見つかりました。
堀川正先生
静脈内鎮静法に関しての講演でした。講義の中で患者さんからの手紙が印象的で、歯科治療、ましてやインプラント治療ともなると患者さんの不安は計り知れないものであることに気づかされました。その上で静脈内鎮静法のメリットを学びました。薬物の投与が確実であったり、健忘効果が期待でき患者さんにとってかなり快適であったり血管を確保していることによって緊急時に対応しやすいことなど様々なメリットがありました。今後しっかり勉強、経験を積んで必要に応じて鎮静をして、患者さんに安心して治療を受けてもらえるようになりたいと心から思いました。
佐藤隆太先生
口腔内規格写真撮影に関しての講演でした。日々の臨床において口腔内写真をとって治療を客観的に評価することが非常に重要であり、さらにその写真に規格性があることの重要性を改めて実感しました。カメラの基本的な性能や仕組みに加えて実際の手技、撮り方のコツをご教授いただきこれからの臨床に取り入れていきたいと思いました。実際にスライドに出てきた口腔内写真はすごくきれいで規格性があり感動しました。治療の手技や知識はもちろん大事なことではあり、学生時代も習ってきたのですが、同じくらい重要であるはずの規格性のある写真をとることに関しては習ったことはなく、今回初めてしっかりと講演を聞き、さらにこれから経験、勉強をしなければならないと感じました。
非常に勉強になる講義をありがとうございました。そして同期の先生方とも懇親会等で親睦を深められてとても充実した2日間でした。知識も経験もまだまだ未熟ではありますがこれからもよろしくお願いいたします。
福田謙一先生講義
福田謙一先生自らの点滴手技をご披露
堀川正先生のご指導
模型ではあるが血管に入るのが判ります
澤瀬隆先生講義
竹下文隆先生講義
パノラマトレース実習
ダイナミックナビゲーション手にとって
飯島俊一先生講義
熱心な受講生
相変わらず活発な質問