KIRG受講記 2018年5月(第2回)
24期受講生 楠田 詠司
先月よりスタートしたKIRG100時間コース。初回は素晴らしい講師陣とその濃厚な講義内容に圧倒された2日間でしたが、今月もこの日を楽しみに参加させていただきました。
インプラント治療というとテクニカルなことや材料・ツールに重きを置かれがちですが、今回は「安全に治療を行う」ということに焦点が置かれていたように思われました。
伊東隆利先生による医療安全のお話の中でも、「医療とは侵襲を与えることである」とあったように自分たちが日ごろ行っている行為がどういうものなのかというところから見直し、それを安全に行うためにはいかに準備していくことが大切かということを痛感しました。続いて森永大作先生による術前から術後長期にわたるまでの診査項目・プロトコールのお話であったが、これもいかにトラブルを未然に防ぐか、早期に発見するかということであり、これを系統立てることが患者の安心・安全につながるものだと感じました。
堀川正先生からは患者のストレスを取り除き安全に治療を行うためにIVSが有用であることをお話頂いただき、そしてそれが開業でも導入できるものであることを詳しく説明いただいた。
飯島俊一先生のお話では種々のインプラントが流通しているが、安易な選択に走らず、その特徴を理解して症例に応じた使い分けが出来るようになることが重要であることを教えて頂いた。
有病者率の高い昨今、福田謙一先生からは基礎疾患の見方から緊急時対応まで分かりやすくお話頂けた。「持っているだけ」だった緊急医薬品が、自信を持って「使える物」に変わった講義でした。また井上孝先生の講義もインプラント治療を行う上で知っておくべき基礎的内容のお話を聞くことが出来た。
KIRGは大学系の講師と開業医の講師とが織り交ざってお話をして頂けるので、大学の授業にあるようないまさら聞けない基礎の内容から臨床の最前線、すぐに現場に活かされるものまで、いろんな視点・切り口の考え方にふれることが出来るというのがはじめに感じた印象でした。テーマに合ったそれぞれのエキスパートが担当していただいているのでその内容は非常に深く、興味深く拝聴させていただきました。
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「KIRG認定講習会第2回を受講して」
医療法人東杏会丸ビル歯科 杉田 明裕
5月19日、20日にKIRG認定講習会第2回が行われました。今年2度目の熊本でしたが、震災の爪痕が残りつつも修復中の熊本城の天守閣が一部見えるようになり、復興に向けて前向きな熊本の方々を目の当たりにして自分もパワーをもらいました。
初日はいきなり会長の伊東先生による「インプラントの医療安全」についての講義でした。患者の身体に侵襲を与えるという行為に責任を持ち、それに対する医療安全対策に関して伊東先生の病院での具体的な方法をわかりやすく説明していただき、ダブルチェックや誤飲の予防など改めてリスク対応に関するシステム作りの大切さを実感しました。
続いて森永大作先生の「診査項目プロトコール」についての講義がありました。森永先生の実際の症例も提示していただきながら、インプラント埋入時のポジショニングの基準や上部構造の設計など、診査における重要かつ基本的な事項について再確認することができました。
午後は、堀川先生による「静脈内鎮静法」についての講義でした。自分の医院ではインプラント手術時には笑気麻酔でしか対応していなかったのですが、先生の講義を聞いて笑気麻酔のデメリットを改善した静脈内鎮静法の有効性を学び、今後インプラント手術において是非ルーティンで取り入れたいと思いました。また先生が患者さんからもらった手紙の内容が印象的で、いかにインプラント治療において患者さんを不安にさせないことが重要であるかを再認識しました。
1日目の最後は、飯島先生による「各種インプラントの臨床」についての講義でした。母校の大先輩でもある先生の講義はハイレベルかつ濃密な内容で、正直ついていくのがやっとでしたが日頃の疑問が解消されて、今後インプラント治療を行ううえで最低でも3種類以上のインプラントを症例に応じて使いこなしていく必要性を感じました。その後の懇親会でも、基本的な質問にもわかりやすく丁寧に答えて下さり、非常に充実した1日目でした。
2日目の午前は、再び母校の福田先生と堀川先生による「麻酔と全身管理・静脈確保実習」でした。学生時代にも聞いたことのある福田先生の笑いを交えたユニークな講義は変わらず引きつけられ、日頃から静脈確保やモニタリングを行っておく大切さを学びました。個人的には、舌神経を傷つけない下顎孔伝達麻酔の同方向からの麻酔法が非常に参考になりました。
午後は、井上先生による「インプラント体と生体反応と口腔検査学」についての講義でした。学生時代に目から鱗の授業を聞いていて今回楽しみにしていたのですが、やはり期待を裏切らないわかりやすい講義で学生時代とはまた違った臨床の観点から聞くことができました。特にリグロスや骨補填材などの最新の情報を組織学的にわかりやすく説明していただき、大変興味深い内容でした。歯根膜を持つインプラントの研究には大いに期待したいと思いました。
今回の第24期KIRGの受講生は10名という少人数制ということで、最初は大御所の先生方の前で緊張もありましたが、受講生にも恵まれ少人数だからこその密な実習やより多くの質問をぶつけることができ、またそのような実習や質問しやすい環境を作って下さる伊東会長をはじめ、講義される先生や司会の先生方や事務の方々に感謝しております。まだコースは始まったばかりですが、患者さんを幸せにできるインプラント治療を目指して11月まで頑張って参りますので、宜しくお願い致します。