KIRG100時間講習 10月講義感想文 井戸浩規
十月も半ばを過ぎたころ秋も深まり、早朝の佐賀は特に肌寒かった。午前五時半はやはりまだ眠いが、車のエンジンに火を入れると同時に今回の講義に対する期待が高まってゆくようだった。
今回鹿児島大学 大学院医歯顎総合研究科口腔顎顔面分野から西村教授が来られた。私も出身は鹿児島大学で、その後冠ブリッジ科に二年在籍した経緯があり鹿児島大学とは縁が深くまた西村教授がいらっしゃった研究室の隣の研究室にいたもので、スライドで鹿児島大学が映ると懐かしい気持ちになりました。今回骨補填材について詳しく講義をされて、実際の手術時の写真もあり骨造成について何がいいのか多少はつかめたような気がします。
ショートインプラントは骨がない患者さんへの手段として非常に有効だし、それを使えば骨造成の必要がなくなるケースもあると思うので症例があれば連結して使っていきたいと思いました。土屋先生の矯正の講義も興味深かったです。特にルートエクストルージョンや歯体移動で骨がものすごいできた症例がすごかったです。抜歯してそのあと骨の治癒を待ったり場合によっては骨補填材使うのもいいかもしれないが、矯正的に動かしていって歯根膜の力で骨をつくってゆくのはとても有効だと思いました。小さいインプラントを固定源として使って歯牙を動かしてゆくテクニックはとても応用が効きそうで、いろいろやってみたい気もします。講義を受けるだけで何でもできるようになる気がしてしまうのは僕だけでしょうか。いいえきっと講義をしてくださる先生方がそんなパワーを持ってらっしゃるからだと思います。横田先生の講義は日ごろなんとなく疑問に思った事に光を当てるものでした。マイクロクラックというものが歯を細くしてゆくのか、だから高齢の人の歯は歯頸部がくびれている場合が多いのか。今までなにげなく見ていたレントゲン写真もそれを見る視点が一つ増えたと思います。
————————————————–
第24期九州インプラント研究会認定講習会 第7回を終えて
第24期受講生 有家ふるせ歯科口腔クリニック 古瀬雄二郎
早いもので第7回となり認定講習会も終盤となりました。毎回講義内内容が非常に濃いため、大事な部分をメモし帰宅後に再度復習してやっと頭に入るという感じで何とか着いていっています。
10月20日(土)
先ず、和泉雄一先生に歯科領域の再生治療最前線についての講義していただきました。歯周組織の基本的な解剖学から各種再生治療の術式、エムドゲイン、リグロスの特性まで臨床に即した内容で、早速自分の治療に取り入れてみようと思います。
次に、土屋直行先生による矯正治療、インプラント治療そして歯科治療と題して講演頂きました、
見せて頂いた症例はどれも非常に綺麗で、自分の中で矯正治療への考えが変わった程です。信頼できる矯正医と連携しながら、1、矯正のためのインプラント 2、インプラントのための矯正 を整理して治療計画を立てることが大切だと学びました。
次に西村正宏先生による骨造成材料の現状と課題と題してご講演いただきました
人工骨についての細かな分類について教えて頂き、多種多様な人工骨材料がある中、日本で承認されているのはまだ僅かしかない事など分かりやすく丁寧に講演いただきました。
次に、横田誠先生による予防診断における咬合診断の重要性と題してご講演いただきました。
咬合性外傷、プラークと付着の喪失の関係、若年層と高齢者のペリオの原因が根本的に異なるという点など、非常に分かりやすく教えて頂きました、緩圧予後診断と歯根膜バイタルテストなど今までに何となく行っていたことが学術的に理解できて非常に有意義でした。
この日の最後は受講生によるケースプレゼンテーションとして私が発表させて頂きました。初めてという事もあり非常に緊張しましたが、講師の先生方から、抜歯の判断基準、スライドの組み方、治療計画の部分など沢山のご指摘をいただき非常に勉強になりました、このような機会を与えていただき感謝致します。是非また発表させて頂ければと思います。
10月21日(日)
松下恭之先生による生体力学的観点から見るインプラント補綴のガイドラインと題してご講演いただきました。
インプラント連結時の不適合の確認方法、それを回避する方法、インターナル、エクスターナルの印象の違いなど細かく教えて頂きました。全てマニュアル通りに行うのではなく日頃から一つ一つ考えながら治療を行うことが大切だと再認識しました。
最後に小宮山彌太郎先生によるご講演がありました。インプラントの歴史から最前線まで幅広く、しかし細やかに要点を抑えながら話して頂きました。短期的には外科的配慮、長期的には補綴的配慮が必要という点が良く理解できました。また私はバイク好きなのですが、小宮山先生もかなりのバイク好きでいらっしゃって、その話で盛り上がってしましました。
この講習会を受け始めてから治療の一つ一つを立ち止まって考えるようになり、自身の診療も少しずつ変わってきました。
認定講習会も次回で最後となりましたが、最後まで気を引き締めて参加します。
————————————————–
「KIRG 10月感想文」 24期受講生 杉田明裕
4月からスタートしたKIRGも気づけば残すところあと2回となり、これまでの濃密な内容を消化しきれていない不安を抱えつつも、この2日間でまた新しい知識を得られる期待感と自分のインプラント治療の疑問を少しでも解決したいという気持ちで飛行機に乗り込みました。
和泉雄一先生による「歯科領域の再生治療最前線」では、東京医科歯科大学での様々なデータや症例をもとに最新の歯周組織再生治療のトレンドを紹介していただき、また2017年にアムステルダムで行われたEuroPerio9にて歯周炎の分類が変わり、慢性歯周炎と侵襲性歯周炎を区別せず歯周炎として分類し、がんと同じようにStagingとGradingに基づいて分類されていることに衝撃を受けました。
土屋直行先生の「インプラントと矯正治療」では、インプラントと矯正を共存させた様々な長期経過症例を提示していただき、矯正治療における注意点をわかりやすく説明され非常に勉強になりました。個人的には、講義の冒頭で自分の前回のケープレについてご指摘していただき、角化歯肉根尖側移動術をインプラント治療と併用することで清掃性を向上させることを細かく教えていただいたのが強く印象づけられました。
西村正宏先生の「骨増生材料の現状と課題」については、各メーカーから出ている様々な骨補填材の特徴をわかりやすく分類していただき、やみくもに使うとインプラントのロストを引き起こしたりリスクを伴うことを症例やデータを通して痛感し、その特徴に応じた使い分けの重要さを学びました。
横田誠先生の「歯根膜で考える咬合性外傷と予後診断法」では、咬合性外傷をバイオフィルム型typeAと咬合型typeBの二つに分けて考えるという今まで聞いたことのなかった内容で、思わず引き込まれてしまいました。また、咬合力を外へ逃がすスマイルデンチャーは非常に興味深いものでした。
松下恭之先生の「生体力学的観点から見るインプラント補綴のガイドライン」では、多くの成功症例と同じくらい失敗症例を提示していただき、その原因を追求するための印象採得や連結方法などの補綴学的エラーについて講義していただきました。特に日々疑問に感じていた連結されたスクリュー固定性上部構造の不適合を確認する方法は非常に参考になりました。そして、先生が何気なく話された「ミスフィットは技工士を責める前にまず自分を責めよ」という言葉は、常に心に刻んでいようと思いました。
小宮山彌太郎先生の「ブローネマルクインプラントの基本と臨床」では、インプラント界の大家である小宮山先生より、ブローネマルク先生のオステオインテグレーションの発見の話から始まり、手術時の注意点や補綴物の選択について細かく講義していただきました。「インプラントは100%もつものではなく、業者主導型や自己満足型にならず患者主体型であるべきである」という言葉が強く印象に残りました。
このKIRGを通して、患者さんと真摯に向き合ってインプラント治療に取り組む姿勢を毎回学ばせていただきました。それに必要な知識や技術や人間性も含めて、もっと努力して習得していかなければならないことを痛感し、今後も歯科医師として成長していきたいと思います。
————————————————–
第7回KIRG講習会の感想 靏岡祥子
第7回目講習会は盛りだくさんで理解することが大変でしたが、楽しい講習会でした。
最初に、和泉先生に歯周病の最新の分類について教えて頂きました。これまでの分類はすごく単純すぎて、実際の臨床には生かせないと思いました。最新の分類はこれまでのものとは全く異なり、様々な評価項目によってStageおよびGradeで分類されるようになりました。
確かに、このように細分類されると、患者の歯周疾患の治療法や予後などを設定しやすいと思いました。しかし、かなり項目が多すぎるので、全ての項目を評価するのは大変だなと思いました。
そして、歯周再生療法についての説明もありました。最近私も歯周外科に取り組み始めたので興味深い内容でした。ただポケットが深いだけではなく、骨壁の状態や歯肉の状態も確認する必要があることを教えていただいたので、早速日々の診療に取り入れていこうと思います。再生療法に使用する補填材についても開発が進んでいて、パイプ状のβ- TCP を用いた研究には興味がありました。今後世に出てきてほしいと思いました。
西村先生の講義では骨補填材の各論について解説していただきました。骨補填材を骨のない場所に置くとどのように骨が誘導あるいは形成されるのかがわかりました。
横田先生の講義は目からうろこでした。高齢者の歯周病は咬合が関与しており、咬合圧によってセメント質のマイクロクラックが起こって歯周ポケットができて、その後骨吸収。70代の男性でプラークが少なくポケットもないのに垂直性骨吸収を来たしていた症例を経験したことがあり、その理論があてはまると思い、感動しました。
インプラントの講義では、上部構造の印象の精密さが非常に重要であることを教えて頂きました。連結インプラントは咬合力に対してメリットがありますが、印象にズレが生じると逆に骨吸収を早めたり、疼痛をもたらして予後が悪くなることが分かりました。
最後に小宮山先生の講義でした。短い時間でたくさんのことを教えて頂きました。インプラントも埋入場所に適材適所があり、ある意味TPOに合わせて選ぶ必要があることを学びました。そのために広い知識や技術を得るために日々精進しよう思いました。